Polymaker CoPAフィラメント~造形条件がわかった~

最近、マイクロドローンの造形を10種類くらいのフィラメントで試しまくってるshyachiです。

さて、表題の通りなのですが、Polymaker CoPAフィラメントの造形条件がやっと出ました!二ヶ月くらい試行錯誤した気がする。

まずはフィラメントの紹介。

PolyMide CoPA (Nylon) フィラメント

いわゆるナイロンのフィラメントで、高い靱性・強度・耐熱性を持ちます。通常のナイロンのフィラメントは高温のノズル温度、保温チャンバーがないといけないのですが、このフィラメントは基本不要です。

主な造形条件は以下の通り。

推奨プリント温度260 °C
推奨プリント速度40 mm/s
推奨ホッドヘッド温度20~50 °C
Polymaker HPから引用

この数字、なんで温度範囲と速度が非常に狭いのかなと思ってたんですが、理由がありました。

温度と冷却と湿気に極めて敏感なフィラメント

実は上記の数字、速度とホッドベッド温度は多少のずらしが効くのですが、ノズル温度は極めて精密に決める必要あります。

具体的には255℃だと積層間の接着が甘くて使い物にならず、265℃だと強すぎてサポートが剥がれません。

なので、温度は精度良く260℃固定です。

次に冷却ファンですが、環境によりますがこの強さで積層の剥離性を調整します。私の環境だと0-25%だと冷却が弱すぎて剥離性がなく、100%だとパキパキになってしまいます。

なので50%前後で微調整します。

速度は40mm/sec以下が良いと思います。それより早く造形できますが、剥離性と温度の関係がシビアすぎて高速な造形に向きません。

湿気にも注意が必要とHPにも記載があるとおり、常時10%以下の絶乾状態をキープする必要があります。私はPolyboxにオゾという超強力乾燥剤を2個突っ込んだ上、隙間をテープでぐるぐる巻きにしてあります。

オゾ

この方法で3~4週間、湿度を10%以下に保つことが可能です。

ちなみにどれくらい湿度に鋭敏かというと、外気に触れてるフィラメントは2時間くらいでふにゃふにゃに湿気るくらいです。

では長所は?

微細な造形でもきっちり層間の接着が可能、かつ強度と靱性が高く、耐熱性もある超強力フィラメント

これはマイクロドローンのフレーム製作ですべての条件を満たした唯一のフィラメントでした。PEEKとかRENYとかスーパーエンプラが使えればそれが良いはずですが、ご家庭では利用不能なので…

マイクロドローンは細い立体的な造形部分が多く、直径2mmの柱が靱性を持っていないといけません。これを満たすフィラメントはかなり少ないです。ほとんど積層間で折れちゃいます。

また、電波の送信部の温度が80度を超えることもあり、PLAなどは耐熱において耐えきれません。さらに極力軽量にしなくてはいけません。

これらをすべて満たすフィラメントを散々探しましたが、PolymakerのPolymax PLAがかなりいいところまで行っていました。でも、最終的には靱性が高いPolymide CoPAが最高です。

いやー、ここまで温度にシビアなフィラメントを扱ったのは初めてですが、決まるとすげーいい感じです!

おすすめですよ。