最近仕事でも3Dプリンタを使用しています。
その中でよく使うのは、PLAとかPETGなのですが、TPUなどの軟性材料も使うようになってきました。これ、硬いゴムみたいな材料なのですが、なにはともあれ
とにかく軟性材料の印刷は難しい
具体的には次のような問題があります
- 出力中にエクストルーダとノズルの間で曲がって詰まる
- 柔らかいため糸を大変引きやすい
- 温度が粘性と直結するためシビアに管理しないといけない
こんな感じでしょうか。特に問題なのは、曲がって詰まることです。
もうとにかく詰まる。ジャムる。
この原因を探るのにおそらく10時間以上設定に時間をかけました…
結論から言います。
詰まりの回避にはシビアなノズル内圧コントロールが重要
です。
ナンノコッチャって?
具体的に話しましよう。まず、フィラメントはエクストルーダを使って、ノズルと向かっていきます。このノズルは加熱されているので、フィラメントは融解し射出されていきます。ここで、重要なのは射出されるための力がどこから加わっているかという話です。当然この力はまだ融解していないフィラメントが受け持つことになります。しかも、引張力ではなく圧縮方向で受け持つので、力が大きくなると座屈します。PLAとかなら座屈する前にエクストルーダが滑るので射出不良で終了しますが、軟性材料の場合、中折するわけです。
つまり、
ノズル内圧 < フィラメント座屈許容荷重の関係を超えた瞬間、内部で詰まります
この関係に気がつくまでだいぶかかりましたね。
設定のファクターは内圧に関わる全ての項目が関わってきます。
- 射出速度
- 射出乗数
- ノズル温度
- リトラクションの回数
- 下のレイヤーとのクリアランス
- その他、エクストルーダの動きに関わる全ての項目
です。
結論は出ていて、内圧が座屈荷重に達しないように設定するしかありません。ハード的な相性(軟性材料の印刷ができないプリンターもある)もありますが、ソフト的に解決する部分も大きいです。
具体的な設定値は伏せます。何故かと言うと、条件によってコロコロ変わるし、機種によっても、造形によっても変わってしまうのでなんとも言えないからです。
とまあ、こんなかんじです。意外と書いてある情報源が少ない気がします。
みなさんもTPUの印刷をするときは参考にしてみてください。